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本書は、古代中国の占術と哲学の書である『易経』について、その全文を網羅的に解説した全12巻からなる大著の一部です。具体的には、易経の根幹をなす六十四卦や、その解説部分である「十翼」の原文、書き下し文、現代語訳、そして著者による詳細な注釈で構成されています。単なる占いの手引書としてではなく、東洋思想の深遠な哲理を学問的に探求するための体系的なテキストとして編纂されているのが特徴です。読者は本書を通じて、難解とされる易経の原文に直接触れながら、その思想的背景や各卦が持つ多層的な意味を深く理解することを目指します。
本書が発売された1941年は、太平洋戦争開戦の年であり、日本全体が国家総動員体制下で極度の緊張と先行きの見えない不安に包まれていました。このような時代背景において、個人の運命や国家の行く末を占うことへの関心が高まると同時に、精神的な支柱を求めて東洋の古典思想に回帰する気運が存在したと考えられます。指導者層や知識人は、国家の意思決定の指針として、また一般市民は、混乱の時代を生き抜くための知恵として、易経に注目したと推測されます。当時、易経の解説書は他にも存在したと思われますが、『易経大講座』という名の通り、全12巻にわたる圧倒的な網羅性と学術的な体裁は、単なる占術書とは一線を画す権威性を備えていました。断片的な知識ではなく、体系的な学問として易経を提示したことが、高い知的好奇心を持つ読者層の需要を捉え、発売当初の成功につながった一因と言えるでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?
