📬 ロングセラー通信
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本書は、船舶が航行する際に水から受ける「抵抗」について、その原理から計算方法、そして効率的な船型設計への応用までを体系的に解説した専門書です。流体力学の理論を基礎に、摩擦抵抗、造波抵抗、渦抵抗といった抵抗の種類ごとの発生メカニズムを明らかにします。さらに、模型を用いた水槽試験のデータや数式を駆使し、これらの抵抗を定量的に予測・評価する具体的な手法を提示しています。単なる理論の解説に留まらず、得られた知見を実際の設計プロセスにどう活かすかという実践的な指針を示すことで、学術的探求と現場の実務とを橋渡しする役割を担っています。
本書が1953年当時に広く受け入れられた背景には、戦後日本の造船業が急速に復興・発展していた時代状況が大きく影響していると考えられます。朝鮮戦争特需を追い風に、日本の造船受注量は世界トップクラスへと躍進し、それに伴い、高度な専門知識を持つ船舶技術者の育成が国家的な急務となっていました。このような状況下で、大学の講義や造船所の実務で共通して使用できる、体系的かつ日本語で書かれた専門書への需要は極めて高かったと推察されます。当時、海外の文献に頼ることが多かった専門分野において、日本の第一人者である山県昌夫氏が理論から実験、実用設計までを網羅した本書を著したことは画期的でした。日本の実情に即した信頼性の高い教科書として、造船立国を目指す日本の技術者たちの知の渇望に応えたことが、発売当初の成功に直結したと分析できます。
では、なぜ売れ続けたのか?
