📬 ロングセラー通信
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本書は、経済学者であり慶應義塾長も務めた小泉信三が、主に学生に向けて行った講演や執筆した文章を編纂したものです。その内容は、大学生活を構成する学問、読書、スポーツ、友人関係といった多様なテーマに及び、それぞれについてどう向き合うべきかという心構えや、その本質的な意義を説いています。単に学生生活を円滑に送るための手引書ではなく、これらの活動を通じていかにして人格を陶冶し、教養を深めるかという、より高次の視点が一貫して提示されています。具体的なノウハウよりも、物事に取り組む際の姿勢や思考の枠組みを読者に問いかけることに主眼が置かれており、独立した個人としていかに生きるべきかという普遍的な問いを、大学生活という具体的な場面を通して投げかける作品です。
本書が発売された1939年頃は、日中戦争の長期化により国家総動員体制が敷かれ、社会全体が戦時色を強めていた時代です。学問の自由や個人の教養よりも、国家への奉仕が優先される風潮の中で、多くの学生は自らの進むべき道や学ぶことの意義について、深い葛藤や不安を抱えていたと考えられます。このような不確実な時代において、慶應義塾長という社会的な権威を持つ小泉信三が語る、普遍的な教養や人格形成の重要性は、学生たちにとって精神的な拠り所として強く響いたのではないでしょうか。また、単なる知性偏重の教養主義とは一線を画し、スポーツによる身体と精神の鍛錬を重視する視点は、独自の魅力を持っていたと推測されます。国家が求める役割と、個人としてどう生きるかという狭間で揺れる若者層にとって、本書は自らの座標軸を定めるための羅針盤として受け入れられたと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
