📬 ロングセラー通信
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本書は、綿、麻、藍、なたねといった、食用ではなく繊維、油料、染料、薬料などの原料として利用される「工芸作物」全般について体系的に解説した学術書です。各作物について、その植物学的な分類や特徴、歴史的な背景、栽培方法、収穫後の加工技術、そして経済的な利用価値に至るまで、幅広い知識を網羅的に扱っています。構成は作物ごとに章が立てられ、それぞれの専門分野を深く掘り下げると同時に、それらを「工芸作物学」という一つの学問分野として統合することを目指しています。図版やデータを交えながら、作物が人間の生活や文化とどのように関わってきたかを、客観的かつ詳細に記述しているのが特徴です。
本書が発売された1949年頃は、日本が終戦後の混乱から復興へと舵を切った重要な時期でした。食糧不足と並行して、衣料品や工業製品の原料も極度に不足しており、綿や麻などの繊維作物や油料作物の国内生産量を回復・向上させることは、産業復興における喫緊の課題であったと考えられます。このような時代背景の中、国内の工芸作物に関する知識や技術を包括的に体系化した本書は、大学の農学部の学生や研究者、農業指導員、さらには政策立案者にとって、待望久しい専門書であったと推測されます。それまで断片的にしか存在しなかった情報を一冊に集約し、「工芸作物学」という学問分野の礎を築いたことで、同時代の類書と一線を画し、専門領域における必読の教科書としての地位を確立したのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
