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本書は、音楽評論家・作曲家の堀内敬三が編纂した、西洋音楽で用いられる楽語を解説する専門辞典です。イタリア語、ドイツ語、フランス語などを中心とした数千の音楽用語について、その意味や発音、語源、さらには歴史的な文脈や用法のニュアンスまでを詳述しています。演奏記号や速度表示といった基本的な用語から、楽曲形式、楽器名、音楽史に関連する言葉まで、クラシック音楽を理解するために必要な語彙を網羅的に収録。音楽を学ぶ学生や演奏家、研究者、そしてクラシック音楽愛好家が、楽譜やライナーノーツを正確に読み解くための参照資料として機能することを目的としています。
本書が発売された1954年当時、日本は戦後の復興期にあり、西洋文化、特にクラシック音楽への関心が急速に高まっていたと考えられます。ラジオやレコードの普及に伴い、音楽を聴くだけでなく、自ら演奏したり学んだりする層が増加していました。しかし、専門的な楽語を体系的に解説した日本語の文献は非常に限られており、学習者は断片的な情報に頼らざるを得ない状況でした。このような背景の中、すでに音楽評論の第一人者として絶大な信頼を得ていた堀内敬三による網羅的な辞典の登場は、まさに待望の一冊であったと言えるでしょう。単に単語を翻訳するだけでなく、その背景にある文化や歴史まで踏み込んだ丁寧な解説は、他の簡易的な用語集とは一線を画すものでした。情報そのものが希少であった時代において、信頼できる権威が編纂した「一冊で完結する参照点」としての価値が、発売当初の成功を強力に後押ししたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

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