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本書は、19世紀ドイツを中心に興隆した経済学の一潮流「歴史学派」について、その形成から展開、そして思想的特質までを体系的に解説した学術書です。フリードリッヒ・リストのような先駆者から、グスタフ・フォン・シュモラーに代表される新歴史学派、さらにはヴェルナー・ゾンバルトといった後代の学者まで、主要な経済学者の思想と相互関係を時系列に沿って整理しています。抽象的な理論よりも、各国の歴史的・文化的な特殊性を重視した歴史学派が、古典派経済学とどのように対峙し、独自の経済分析手法を確立していったのか、その学問的な軌跡を明らかにすることを目的としています。
本書が1956年当時に売れた理由は、戦後復興から高度経済成長へと向かう日本の知的状況と、学術出版市場の黎明期という時代背景に深く根ざしていると考えられます。当時の日本では、欧米の近代的な学問、特に経済学への渇望が非常に強く、その体系的な知識を求める大学教員や学生が主要な読者層でした。特に、後発工業国であったドイツの経済発展を思想的に支えた歴史学派は、日本の近代化モデルを考える上で重要な参照対象と見なされていた可能性があります。
また、『経済学説全集』という企画自体が、信頼性と網羅性の象徴でした。個別の翻訳書や研究書がまだ少なかった時代において、第一線の研究者たちが結集して執筆した「全集」は、他に類を見ない権威と体系性を備えていました。断片的な知識ではなく、学問の全体像を求めるアカデミックな需要に対し、本書は決定的なソリューションを提供したことで、同時代の類書を圧倒する存在感を示したと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1956年)