📬 ロングセラー通信
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本書は、農業と気象現象との関係を体系的に解き明かす学術書です。気温、湿度、日射、風といった気象の基本要素が、作物の生育、収量、さらには病害虫の発生にどのような影響を及ぼすかを、物理学的な原理に基づいて解説しています。特に、作物群落の内部や地表面付近といった微小空間の気象環境、すなわち「微気象学」の観点を重視している点が特徴です。本書の目的は、農業に携わる技術者や研究者が、経験や勘だけでなく、科学的な根拠に基づいて自然環境を理解し、それを安定的な食糧生産に応用するための基礎知識を提供することにあります。具体的な栽培技術よりも、その背景にある普遍的な自然法則の理解を促す構成となっています。
本書が発売された1951年当時、日本は戦後の食糧難から脱却し、食糧の安定供給を確立することが国家的な最重要課題でした。この時代背景において、従来の経験と勘に頼る農業から、科学的知見に基づいた近代的な農業への転換が強く求められていたと考えられます。大学の農学部教育が整備されていく中で、農業と気象の関係を体系的に学べる日本語の専門教科書は、学生や技術指導者にとって渇望されていた存在だったと推測されます。類書がほとんど存在しない状況で、日本の農業気象学の権威である鈴木清太郎氏が執筆した本書は、その信頼性と網羅性から、他に代えがたい「最初の教科書」として受け入れられたのではないでしょうか。また、「農学全書」という権威あるシリーズの一冊として刊行されたことも、その専門性と信頼性を担保し、初期の普及を強力に後押しした要因と考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
