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本書は、日本の近世から近代にかけての農村社会における「寄生地主制」の成立と発展の過程を、京都府乙訓郡久我村という単一の村を対象に実証的に分析した歴史研究書です。著者は、検地帳や土地売買文書といった一次史料を駆使し、個々の農民の経営実態や土地所有関係の変遷を数世紀にわたり詳細に追跡します。特定の村におけるミクロな事例研究を通じて、封建社会から資本主義社会へと移行する中での地主・小作関係の構造的変化という、日本史上のマクロなテーマを解明することを目指しています。理論や概説ではなく、具体的なデータに基づき、歴史的プロセスのダイナミズムを解き明かすことに主眼が置かれています。
本書が1952年当時に注目を集めた背景には、戦後の農地改革によって寄生地主制が解体された直後という時代状況が大きく影響していると考えられます。当時の学界や知識人層では、改革の対象となった「寄生地主制」が、日本の近代化をいかに規定してきたのかという問いへの関心が最高潮に達していました。多くの類書がマルクス主義的な理論モデルに基づいたマクロな議論を展開する中で、本書は京都府の一村落という極めてミクロな対象に焦点を絞り、膨大な一次史料を基にその生成過程を実証的に解明するという手法で際立っていました。この徹底したフィールドワークに基づく研究は、抽象的な歴史論争に新たな視点を提供し、日本の社会経済史研究に実証主義的な方法論を確立する画期的な一冊として受け止められたのです。理論だけでなく、具体的なデータで歴史のダイナミズムを解明しようとする姿勢が、当時の研究者や学生の知的好奇心を強く刺激したと推察されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
