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(1954年)
本書は1954年に河出書房から刊行された『世界大思想全集』シリーズの第20巻です。特定の著者による単著ではなく、20世紀前半から中盤にかけて西洋で影響力を持った哲学や文芸思想に関する、複数の思想家の著作や論文からの抜粋を収録したアンソロジー形式の書籍と考えられます。その構成は、読者がサルトル、カミュ、ハイデガーといった実存主義や現象学の思想家をはじめとする、当時の知的潮流の要点をこの一冊で概観できるように設計されています。個別の難解な専門書に挑む前の「思想の地図」として、また、多様な思想に触れるための入り口として機能することを目的としていたと推測されます。
本書が発売された1954年当時の日本は、戦後の価値観の混乱から抜け出し、新たな知の指針を模索していた時代でした。特に知識人や学生層の間では、西洋の近代思想、とりわけ実存主義などに対する強い渇望が存在したと考えられます。このような時代背景において、『世界大思想全集』という体系的なフォーマットは、個人で高価な専門書を買い揃えるよりも手軽に、かつ権威ある形で西洋思想の全体像に触れる機会を提供しました。当時の出版界で流行した「全集」という形式は、書斎に並べること自体が一種の知的ステータスであり、教養の証と見なされたことも販売を後押しした要因でしょう。本書は「哲学」と「文芸」を組み合わせることで、純粋な哲学書よりも広い読者層にアピールし、時代の知的好奇心に的確に応えた入門書として受け入れられたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?