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本書は、著名な文芸評論家である青野季吉の編纂により、戦後から1955年に至るまでの日本の現代文学における評論活動を時系列で整理した年表です。具体的には、主要な文芸雑誌や新聞に掲載された評論について、発表年月日、著者、タイトル、掲載媒体といった書誌情報を網羅的に記録しています。本書の目的は、個々の評論の内容を深く解釈することではなく、戦後文学論争の全体像を客観的なデータとして提示することにあります。読者は本書を通じて、特定のテーマを巡る議論がどのように生まれ、展開し、影響を与え合ったのか、そのダイナミックな変遷を鳥瞰することができます。作家や作品だけでなく、「評論」という言説そのものを軸に時代を切り取った、資料的価値の高い一冊です。
本書が発売された1955年当時、急速に売上を伸ばした背景には、戦後文学の体系化に対する強い知的需要があったと考えられます。1950年代半ばは、戦後の混乱期を脱し、安保闘争前夜の政治的な緊張感の中で、文学界が自身の足跡を振り返り、次なる方向性を模索していた時期でした。第三の新人などが登場し、論壇も活況を呈していましたが、その全体像を把握するのは困難でした。このような状況下で、本書は乱立する評論や論争を時系列で整理した「地図」として機能したと推測されます。それまでの文学史が作家・作品論に偏りがちだったのに対し、「評論」という切り口で戦後史を再構成した点が画期的でした。また、『現代文学論大系』という権威ある叢書の一冊として刊行されたこと、そして編者が青野季吉という信頼性の高い批評家であったことも、研究者や学生、文学に関心を持つ知識層にとって、購入を決定づける強力な要因となったことでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?