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本書は、平凡社が1954年から刊行を開始した全28巻にわたる『書道全集』の第13巻です。テーマは「日本」であり、特に日本の書道史において独自の様式が確立された平安時代中期の「和様」の書に焦点を当てています。小野道風、藤原佐理、藤原行成ら「三蹟」と称される能書家たちの代表的な作品を中心に、豊富な図版を用いて紹介しています。各図版には、書道史研究の専門家による詳細な解説が付されており、単なる作品鑑賞集に留まらず、書を学ぶ者にとっては手本として、研究者にとっては学術資料としての役割を果たす構成になっています。あくまで書道史の一時代を客観的に切り取り、体系的に提示することを目的とした書籍です。
本書が発売された1955年頃は、戦後の混乱から抜け出し、日本が経済的な復興を遂げつつあった時代です。それに伴い、人々の中に失われた伝統文化への回帰や、教養を身につけたいという知的な欲求が高まっていたと考えられます。このような時代背景の中で、平凡社が企画した『書道全集』は、その壮大なスケールと網羅性で際立っていました。他の多くの書道関連書が特定の書家や技法を扱った単行本であったのに対し、本書は全集の一部として、中国から日本に至る書の歴史を体系的に所有できるという価値を提供しました。また、当時の最新印刷技術による高品質な図版と、第一線の研究者による権威ある解説は、専門的な学習需要と、一般層の知的好奇心の両方を満たすものでした。書斎に全集を並べることが一種のステータスとされた時代において、本書は文化的資本としての所有欲を刺激し、多くの読者に受け入れられたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
