📬 ロングセラー通信
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本書は、犯罪の原因を探り、その対策を講じる学問である「刑事政策」の全体像を体系的に解説する専門書です。犯罪の原因を生物学的・心理学的・社会学的側面から分析する犯罪原因論から始まり、具体的な犯罪対策としての刑罰論、行刑(刑務所での処遇)、保安処分、少年司法制度までを網羅的に扱います。著者は、特定の理論や学派に偏ることなく、多様な学説を公平に紹介・整理することで、読者が刑事政策という学問分野の地図を俯瞰できるように構成しています。法学を学ぶ学生や研究者、司法・矯正分野の実務家が、この分野の基礎知識を習得するための入門書であり、同時に専門的な議論の土台となる一冊です。
本書が1956年当時に売れた理由は、戦後の法体制再整備と大学教育の拡充という時代的要請に的確に応えた点にあると考えられます。戦後の混乱が収束し、社会が安定を取り戻す中で、新しい憲法のもとでの法学教育が本格化しました。特に刑事政策の分野では、戦前の理論に加え、欧米の新しい思潮を取り入れた体系的な教科書が強く求められていました。
このような状況下で、本書は登場しました。当時、九州大学の教授であった安平政吉氏の権威を背景に、多様な学説を網羅的かつ中立的に整理した本書は、法学部の学生にとって信頼できる基本文献となりました。特定のイデオロギーに偏らず、学問の全体像を俯瞰できる構成は、教員が教科書として指定しやすく、学生が自習する上でも最適だったと推測されます。当時、これほど体系的でアップデートされた刑事政策の概説書はまだ少なく、先発者として市場の需要を捉えたことが、発売当初の成功に繋がった主要因と言えるでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1956年)