📬 ロングセラー通信
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本書は、1956年に法政大学大原社会問題研究所によって刊行された社会調査の報告書です。調査対象は、エネルギー革命の波を受け構造不況に陥っていた福島県から茨城県にまたがる常磐炭鉱地帯の失業者たちです。内容は、統計データに基づきながらも、個々の失業者の生活実態、収入源、家族関係、求職活動の困難さ、そして彼らの心理や意識といった内面にまで踏み込んでいます。単に失業という現象をマクロに分析するのではなく、それが個人の「存在形態」そのものをいかに変容させるかを、詳細なフィールドワークを通して微視的かつ多角的に描き出すことを目的としています。戦後日本の社会問題、特に労働問題の実態を一次資料として克明に記録した学術的ドキュメントと言えます。
本書が発売された1956年当時に売れた理由は、高度経済成長の幕開けという明るい世相の裏側で深刻化していた社会問題に、克明な実態をもって迫った点にあると考えられます。「もはや戦後ではない」と謳われる一方で、石炭から石油へのエネルギー転換により、炭鉱地帯では大量の失業者が発生し、大きな社会不安となっていました。多くの国民がこの問題に関心を寄せる中、政府の統計や断片的な新聞報道とは一線を画す、大学の研究機関による体系的で詳細な実態報告は、信頼性の高い情報源として渇望されていたと推察されます。類書がマクロな経済分析に終始する中で、本書は「存在形態」という言葉に象徴されるように、失業者の生活や心理にまで踏み込んだ質的なアプローチを取りました。これにより、失業という社会問題が個人の尊厳をいかに蝕むかを生々しく伝え、当時の知識層や学生、労働組合関係者などに強い衝撃を与え、必読書として受け入れられたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
