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本書は、1957年に刊行された土木工学の概論書です。河川、道路、鉄道、港湾、都市計画といった多岐にわたる土木工学の各分野を網羅的に解説し、それらが社会基盤としてどのように連携し機能するかの全体像を提示します。個別の技術的な詳細を深掘りするのではなく、学問分野全体の地図を示すことに主眼が置かれています。また、単なる技術解説に留まらず、土木技術が社会や自然といかに向き合うべきかという、技術者の倫理観や思想的側面にも言及している点が特徴です。土木工学を初めて学ぶ学生や、専門分野に進む前の若手技術者が、学問の全体像と精神性を理解するための入門書として位置づけられています。
本書が発売された1957年頃は、日本が戦後復興を経て高度経済成長期へと突入する直前の時代でした。全国でダム建設、高速道路網の整備、新幹線の計画といった大規模なインフラプロジェクトが次々と立ち上がり、土木技術者の需要が爆発的に増加していたと考えられます。この状況下で、大学や専門学校で土木を学ぶ学生が急増し、彼らにとって「土木工学とは何か」という全体像と、国づくりを担う使命感を教える権威ある教科書が求められていました。当時の類書の多くが特定の専門技術に特化していた中で、東京大学教授という第一人者が土木工学の思想や哲学まで含めて体系的に語る本書は、唯一無二の存在だったと推測されます。単なる知識の伝達だけでなく、未来の技術者への精神的な指針を示す役割を果たしたことが、多くの学生や実務家に受け入れられ、ベストセラーとなる要因になったと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1957年)