📬 ロングセラー通信
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本書は、イギリスの性科学者ハヴロック・エリスによる、人間の性に関する探求をまとめた古典的名著です。医学、心理学、人類学など多角的な視点から、性的衝動の起源、思春期における性の発現、同性愛、性の倒錯、結婚や性教育といった幅広いテーマを扱っています。本書の目的は、性をめぐる現象を道徳的な善悪の判断から切り離し、あくまで客観的かつ科学的な観察対象として記述することにあります。読者は本書を通じて、これまでタブー視されがちだった性の問題を、冷静な知識として体系的に理解するための視点と情報を得ることができます。
本書が1957年当時の日本で売れた理由は、性の話題が公にはタブー視される一方、近代的な「科学」への信頼と憧れが高まっていたという時代背景に巧みに合致したからだと考えられます。当時の読者が性に関する情報を得ようとしても、手に入るのは扇情的な興味を煽る読み物か、旧来の道徳観に基づく説教的な内容のものがほとんどでした。そのような状況で、国際的な権威である性科学者が執筆した「心理学入門」というタイトルは、読者に「科学的で信頼できる知識」という強力な安心感を与えたと推測されます。性への強い関心と、それを公に探求することへの罪悪感という矛盾した感情を抱える読者にとって、本書は知的好奇心を安全に満たすための唯一無二の選択肢として受け入れられたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
