📬 ロングセラー通信
毎日1冊、10年売れ続ける本の秘密をお届け。
無料・いつでも解除可能
本書は、経済学者・山田雄三が1942年に発表した、計画経済の理論的構造を解明しようとする経済学の専門書です。ソビエト連邦のような中央集権的な指令経済だけでなく、市場の価格メカニズムを計画体系に組み込む「計算経済」の可能性についても深く考察しています。本書は特定のイデオロギーを解説するのではなく、数理経済学や当時の最先端であったケインズ理論の視点を取り入れながら、経済計画が理論的にどのように成立しうるのか、そのための条件は何かを純粋に分析することを目的としています。経済活動を国家が計画・統制するとはどういうことなのか、その論理的な可能性と限界を、客観的な視点から探求した一冊と言えるでしょう。
本書が発売された1942年は、日本が太平洋戦争の只中にあり、国家総動員法のもとで経済全体が強力な統制下に置かれていた時代です。物資の生産から配給に至るまで、市場原理ではなく国家による「計画」が経済を動かす現実がありました。このような状況下で、多くの知識人、学生、そして政策担当者たちは、目の前で進行する統制経済を理論的に理解したいという強い知的欲求を抱いていたと考えられます。本書は、単に戦時体制を賛美したり、海外の理論を紹介したりするだけでなく、数理的な手法を用いて計画経済のメカニズムそのものを科学的に分析しようとした点で、類書とは一線を画していました。イデオロギーから距離を置き、純粋な経済理論として「計画」を論じた本書は、時代の巨大な問いに対する知的な応答として、当時の読者に受け入れられたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

ランキングデータなし