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本書は、1955年当時の教育現場における作文指導のあり方を、心理学的な視点から体系的に論じた一冊です。全6巻からなる「作文教育講座」の最終巻として、単なる文章作成技術の指導にとどまらず、作文活動が子どもの思考力、表現力、さらには人格形成にどのように寄与するかという、より本質的な問いを探求します。具体的には、戦後の新しい教育理念の中で作文教育が果たすべき役割、子どもの発達段階に応じた指導法のあり方、そして作品の評価方法などが論じられています。教育者や研究者を主な対象とし、作文を教育実践の中核に据えるための理論的枠組みと、その実践に向けた具体的な示唆を提供することを目的としています。
本書が発売当初の1955年頃に広く受け入れられた背景には、戦後の教育大改革期という特殊な時代状況があったと考えられます。当時は、軍国主義教育からの脱却と民主主義教育の確立が急務とされ、個人の思考力や表現力を育む新しい教育方法が現場で渇望されていました。多くの教師が手探りで実践を模索する中、本書は著名な心理学者である波多野完治氏による、科学的知見に基づいた体系的な作文教育論を提示しました。これは、経験則に頼った指導書や単なる実践報告集とは一線を画すものでした。また、「講座」という全6巻にわたる網羅的な構成は、専門性と信頼性を求める教育関係者のニーズに的確に応え、新しい時代における教育の確かな指針として受け入れられたのではないでしょうか。教育の大きな転換期において、理論的支柱を求める読者層に響いたことが、初期の成功の主要因と推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

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