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本書は、映画の黎明期である19世紀末のリュミエール兄弟による発明から、サイレント映画の芸術的成熟、トーキー革命、そして第二次世界大戦後の各国の映画界の動向に至るまで、1950年代初頭までの映画史を体系的にまとめた通史です。単なる作品や監督の羅列に留まらず、各国の社会・政治情勢や技術革新が映画表現と産業にどのような影響を与えたのかを、国別・時代別に整理して解説しています。アメリカ、フランス、ドイツ、ソビエト連邦といった主要な映画大国の動向を比較対照しながら、映画というメディアが芸術、娯楽、プロパガンダとしていかに発展してきたかを多角的に解き明かすことを目的としています。
本書が1951年当時に売れた理由は、第二次世界大戦を経て海外文化への渇望が高まっていた日本の読者に対し、断片的にしか知ることのできなかった「世界」の映画史を初めて体系的かつ網羅的に提示したことにあると考えられます。当時、映画は娯楽の王様であり、それを学術的な対象として捉えたいという知的欲求を持つ学生や文化人層が勃興していました。多くの類書が個別の作品評論やスター紹介に終始する中で、本書は「世界史」という壮大な視座と、社会情勢と技術史を絡めたアカデミックな分析を提供しました。翻訳書であることを示唆する著者名も、海外の権威による本格的な研究書という印象を与え、信頼性を高める要因となったでしょう。まさに、映画を一つの「教養」として学びたいという時代のニーズに、他に先駆けて応えたことが初期の成功につながったと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
