📬 ロングセラー通信
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本書は、1956年に刊行された全8巻の「現代芸術講座」シリーズの第4巻にあたる、現代芸術専門の用語辞典です。シュルレアリスムや抽象表現主義など、当時勃興しつつあった新たな芸術潮流に関連する主要な概念、技法、思想、芸術家、運動について、数百の項目を収録し解説しています。特定の芸術論を展開するのではなく、読者が新聞、雑誌、展覧会などで目にする専門用語の意味を迅速に理解できるよう、中立的な立場から定義と背景を提供することを目的として設計されています。あくまで講座の一部であり、体系的な知識の参照点として機能する実用書としての性格が強い一冊です。
本書が1956年当時に売れた理由は、戦後日本の急速な欧米文化受容という時代背景の中で、多くの人々が感じていた「情報格差」を埋める役割を果たしたからだと考えられます。当時の日本は、抽象表現主義といった新しい芸術思潮が次々と流入する一方で、それらを理解するための共通言語や手引きが圧倒的に不足していました。美術評論や展覧会で飛び交うカタカナの専門用語は、多くの人々にとって知的探究心を刺激すると同時に、一種の壁として立ちはだかっていたのです。本書は、その壁を取り払うための「翻訳機」として機能しました。類書がまだ少なかった時代に、「現代芸術研究所」という権威ある組織名のもと、網羅的かつ体系的に用語を整理した辞典を提供したことで、専門家を目指す学生から知的好奇心の旺盛な教養層まで、幅広い読者の「知りたいが、何から学べばいいかわからない」という切実なニーズに応えたことが、発売当初の成功につながったと推察されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
