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本書は、1954年に刊行された全8巻からなる『現代映画講座』シリーズの第3巻であり、シナリオ創作の理論と実践に特化した専門書です。映画が娯楽の王様であった時代に、映画制作の根幹をなすシナリオについて、その構造、登場人物の造形、セリフの技術、そして映像表現との関係性などを体系的に解説しています。単なる技術的な手引書に留まらず、物語を構築するための普遍的な原理原則を探求し、映画芸術としてのシナリオのあり方を論じているのが特徴です。映画制作者やその志望者、あるいは映画研究者を対象に、シナリオ執筆のプロセスを論理的に解き明かすことを目的としています。
本書が発売された1954年当時に売れた理由は、日本映画の黄金期という時代背景と、体系的な知識への渇望に応えたことにあると考えられます。当時は黒澤明監督の『七人の侍』が公開されるなど、映画産業は隆盛を極め、シナリオライターは多くの若者が憧れる花形の職業でした。しかし、その創作技術を専門的に学べる教育機関や書籍はまだ少なく、志望者たちは信頼できる指針を求めていました。そのような状況下で、映画評論家・監督として既に名声を得ていた和田矩衛氏が執筆した本書は、強い権威性を持って受け入れられたことでしょう。また、全8巻の「講座」の一部として刊行されたことで、断片的な知識ではなく、映画制作全体の文脈の中でシナリオを学べるという体系性が、専門的な学びを求める読者層のニーズに強く合致したと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
