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本書は、法学者であり後に最高裁判所長官を務めた田中耕太郎による会社法の体系的な解説書です。1950年に行われた商法大改正後の新しい会社法の全体像を、法学生や実務家に向けて明らかにすることを目的としています。内容は、株式会社の設立から、株式・社債、株主総会や取締役会といった機関の運営、計算書類、組織再編、そして解散・清算に至るまで、会社法が規律する主要な領域を網羅的に扱っています。単なる条文の解釈に留まらず、各制度の背後にある法哲学的な理念や社会的な意義にも言及しているのが特徴で、会社法という法体系の根本思想を理解するための学術的な概論書として構成されています。
本書が発売された1955年当時に売れた理由は、戦後日本の大きな社会的・経済的変化に的確に応えたからだと考えられます。第一に、1950年の商法大改正です。アメリカ法の影響を強く受けたこの大改正により、日本の会社法は根本から姿を変え、法学界・実業界ともに信頼できる体系的な解説書を渇望していました。本書は、この知的な空白を埋める決定版として登場したのです。第二に、著者の圧倒的な権威性です。田中耕太郎は当時すでに法学者として最高峰の評価を得ており、その名声が書籍の信頼性を絶対的なものにしました。新しい法制度への不安が渦巻く中で、多くの法学生や実務家が指針として求めたのが、他の類書とは一線を画す最高権威による解説だったと推測されます。経済成長の黎明期において、近代化された株式会社制度の「公式解説書」としての役割を担ったことが、発売当初の成功の直接的な要因と言えるでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?
