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本書は、音楽春秋社から1956年に刊行された「世界大音楽全集」シリーズの一冊で、著名な音楽評論家である堀内敬三が編纂を手掛けたポピュラー歌曲集です。内容は、アメリカのスティーブン・フォスターの楽曲をはじめ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアなど世界各国の民謡や愛唱歌を中心に、約100曲の楽譜を収録しています。各楽曲には、ピアノ伴奏付きの楽譜だけでなく、その曲が作られた歴史的背景や歌詞の内容、作曲家にまつわるエピソードなど、堀内敬三による詳細な解説が付されているのが特徴です。家庭で音楽を楽しむ一般の愛好家から、音楽を学ぶ学生までを対象に、世界の名曲を自ら演奏し、歌い、そして深く理解するための手引きとして構成されています。
本書が発売された1956年当時に売れた理由は、戦後復興の中で高まっていた欧米文化への強い憧れと、家庭で音楽を実践したいというニーズに、他に類を見ない形で応えたからだと考えられます。当時の日本では、ラジオやレコードを通じて洋楽に触れる機会は増えていましたが、その楽譜や背景知識を体系的に得る手段は限られていました。本書は、単なる楽譜集ではなく、当代随一の音楽評論家であった堀内敬三という「権威」が選び、解説したという絶大な信頼性を持っていました。また、「世界大音楽全集」というシリーズの一部であることから、個別の楽譜集を超えた「教養の体系」としての価値を提供し、文化的な所有欲を刺激したと推察されます。クラシック中心の全集が多い中で「ポピュラー歌曲」という親しみやすいテーマを掲げたことも、より幅広い読者層を獲得する要因になったのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
