📬 ロングセラー通信
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本書は、著者・森正蔵が近衛文麿の首相秘書官などを務めた経験に基づき、二・二六事件から太平洋戦争、そして戦後に至るまでの約20年間の日本の政治・社会の激動を描いたノンフィクションです。公的な歴史記録では語られない、権力の中枢で繰り広げられた人間模様や意思決定の舞台裏を、当事者ならではの視点で生々しく綴っています。本書の目的は、歴史を単なる出来事の年表としてではなく、具体的な人物たちの葛藤や誤算、駆け引きが織りなすダイナミックなプロセスとして描き出すことにあります。読者は、歴史の教科書が示す「表」の顔とは異なる、政治の「裏側」に流れる生きたドラマを追体験することができます。
本書が1955年当時に広く受け入れられた理由は、戦後10年という時代背景と、国民が抱いていた歴史への渇望に応えた点にあると考えられます。当時の日本は独立を回復し、経済復興の兆しが見え始めた一方で、多くの国民にとって「あの戦争は何だったのか」という問いは未解決のままでした。公式発表や報道だけでは分からない戦争突入の真相や、指導者たちの実像を知りたいという強いニーズが存在していました。そのような中で、近衛文麿という戦争責任の象徴的人物に最も近い場所にいた秘書官による「内部告発」とも言える本書は、他に類を見ない一次情報としての価値を持っていました。単なる戦記や政治評論とは一線を画す、権力中枢の生々しい人間ドラマを描いた点が、歴史の裏側を求める読者の心を強く掴み、大きな話題を呼んだと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1955年)