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本書は、日本の古代から刊行当時(1957年)に至るまでの婦人運動の歴史を体系的にまとめた通史です。原始共同体における女性の地位から説き起こし、封建社会における抑圧、そして近代国家の成立に伴う女性解放思想の勃興と具体的な運動の展開を時代順に解説しています。特に、平塚らいてうの青鞜社運動や市川房枝らの婦人参政権獲得運動など、戦前から戦後にかけての主要な出来事や人物、団体の活動を詳細に記述しています。単なる歴史的事実の羅列にとどまらず、各時代の社会構造の中で女性が置かれた状況と、それに対する抵抗や変革の試みの連続性として、婦人運動の発展を描き出すことを目的とした一冊と考えられます。
本書が発売された1957年当時、日本は戦後の新憲法下で男女平等が法的に定められてから10年が経過した時期でした。女性参政権も実現し、新しい時代の女性としての生き方を模索する機運が高まっていたと考えられます。しかし、社会には依然として旧来の家父長制的な価値観が根強く、多くの女性が理想と現実のギャップに直面していました。このような状況下で、自分たちが手にした権利が、いかにして先人たちの闘いによって獲得されたものであるかを知りたいという知的な需要が生まれていたと推測されます。
本書は、そうした読者層に対し、婦人運動の歴史を網羅的かつ平易に解説する格好の入門書として受け入れられたのではないでしょうか。著者の帯刀貞代自身が運動家であったため、単なる客観的な歴史書とは異なり、当事者としての視点や熱量が込められていた点も、類書との大きな差別化要因となったと考えられます。学術書ではなく、一般の女性たちが自らのアイデンティティの拠り所として読める一冊であったことが、当時の支持につながった要因と分析できます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1957年)