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本書は、明治後期から第二次世界大戦終結までの約50年間にわたる、日本における西洋音楽の受容と発展の歴史を体系的にまとめた通史です。著者の堀内敬三が、音楽評論家および作曲家としての自身の知見と経験を基に、この激動の時代を詳述しています。学校教育における唱歌の導入、軍楽隊の役割、オペラや交響楽団の勃興、そしてレコードやラジオといった新しいメディアの登場が、いかにして日本の音楽文化を形成していったかを、具体的な出来事や人物を交えながら物語のように描き出します。専門的な音楽史でありながら、一般の読者にも分かりやすい筆致で、日本の近代化と音楽の関わりを多角的に解き明かす一冊です。
本書が1948年に発売された当初、多くの読者を獲得した背景には、終戦直後という特殊な時代状況があったと考えられます。敗戦によって既存の価値観が揺らぎ、多くの人々が文化的な飢餓感を抱えていました。特に、戦時中には「敵性音楽」として抑圧された西洋音楽が解放され、その歴史を改めて体系的に知りたいという知的好奇心が高まっていたと推測されます。
このような状況下で、本書は日本の洋楽史を明治期から包括的にまとめた、当時としては画期的な通史でした。断片的な評論やエッセイは存在しても、これほど網羅的で整理された書籍は稀有であり、文化的な空白を埋める役割を果たしたと考えられます。加えて、著者である堀内敬三は、音楽評論家・作曲家としてすでに高い権威と知名度を確立していました。その彼が、まさに当事者の一人として激動の50年を語るという点も、読者にとって大きな魅力でした。本書は、日本の近代化の歩みを音楽という側面から再確認し、新しい文化を築くための指針を求める当時の人々のニーズに的確に応えた一冊だったと言えるでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?
