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本書は、宮崎駿が全編水彩画で描いた「絵物語」です。物語の舞台は、貧困と飢えに苦しむ谷の小国。その国の王子シュナは、民を救う「金色の穀物」の伝説を信じ、西方の地を目指して旅に出ます。旅の道中では、奴隷商人との出会いや過酷な自然との対峙など、数々の困難がシュナを待ち受けます。セリフは最小限に抑えられ、主にナレーションによって物語が進行するのが特徴です。チベットの民話を原案としながら、生命、自然、文明、そして自己犠牲といった普遍的かつ重厚なテーマを、幻想的で力強い絵と共に描き出しています。
1983年の発売当初に本書が売れた理由は、作家・宮崎駿への期待感と、その独自な表現形式にあったと考えられます。当時、宮崎駿は『風の谷のナウシカ』の漫画連載を雑誌『アニメージュ』で開始しており、アニメファンの間でその作家性と物語の深さが高く評価され始めていました。その宮崎氏が手がける完全新作、しかも全編カラーの「絵物語」という形式は、既存の漫画やアニメとは一線を画すものでした。ファンタジーでありながら、飢餓や人身売買といったシリアスなテーマを扱う作風は、エンターテインメントに深みを求める当時の読者層のニーズに合致したと推測されます。アニメ雑誌から生まれたこのユニークな作品は、宮崎駿の世界観をより深く知りたいと願う熱心なファン層に強く支持されたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
