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(1954年)
本書は、無機化学の一分野である構造化学の観点から、鉱物の結晶構造とその物理的・化学的性質との関連性を体系的に解説した専門書です。1954年に刊行された『構造無機化学』全3巻シリーズの最終巻にあたります。内容は、X線回折をはじめとする構造解析手法の基礎から始まり、ケイ酸塩鉱物を中心とした各種鉱物の具体的な結晶構造を豊富な図と共に詳述しています。単に鉱物を分類・紹介するのではなく、原子が三次元的にどのように配列しているか(構造)が、なぜその鉱物特有の硬度、劈開、色、光学的性質などを生み出すのか(性質)を、一貫した論理で解き明かすことを目的としています。
本書が発売された1954年頃は、日本が戦後復興から高度経済成長へと向かう黎明期にあたり、科学技術、特に材料科学や固体物理学の発展が国家的な急務とされていました。この時期、X線結晶構造解析という新しい学問分野が確立されつつあり、その最先端の知見を日本語で体系的に学べる教科書の需要が、大学の研究者や学生の間で非常に高まっていたと考えられます。海外の原著はあっても、それを読み解く負担は大きいものでした。本書は、著名な研究者である桐山良一氏が、この先進的な学問分野を日本の読者向けに整理し、信頼性の高い「共立全書」シリーズの一冊として刊行したことで、他に類書が少ない中、専門分野の標準テキストとしての地位をいち早く確立したと推測されます。単なる鉱物学の書籍ではなく、「構造化学」という統一的視点を提供した点が、当時の学術的要請に的確に応えた結果、広く受け入れられたのでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?
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