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本書は、人間の行動や感情の根底には「自己イメージとの一貫性を保とうとする欲求」が存在するという単一の理論を提示する心理学書です。著者のプレスコット・レッキーは、人が持つ信念の体系(パーソナリティ)は、矛盾を排除し、統一性を維持するように機能する一個の組織であると主張します。学習の失敗、神経症、社交不安といった問題は、個人の能力の欠如ではなく、その人の自己イメージと新しい行動や情報が矛盾するために生じる「抵抗」であると説明します。本書の目的は、この自己一貫性のメカニズムを理解し、自己イメージそのものを修正することによって、行動や感情を無理なく、永続的に変容させるための理論的枠組みと実践的な道筋を示すことにあります。
本書が1955年当時に受け入れられた理由は、当時の心理学界の主要な潮流であった行動主義と精神分析の両方に対する、実践的な代替案を提示した点にあると考えられます。刺激と反応で人間を説明する行動主義や、無意識下の葛藤を重視する精神分析が主流の中、本書は「自己イメージ」という個人の内的な認知構造に焦点を当てました。これは、第二次世界大戦を経て自己のアイデンティティを再構築しようとしていた人々の、主体的に自己を変革したいというニーズに合致したと推察されます。複雑で難解な理論ではなく、「自分自身の信念が、自分を規定している」というシンプルかつ強力なメッセージは、専門家だけでなく一般読者にも理解しやすく、自己肯定感を高め、人生を自らの手でコントロールしたいと願う当時の人々の心に強く響いたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1955年)
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