📬 ロングセラー通信
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本書は、肥料の種類、成分、作物への影響といった基礎知識から、主要作物ごとの具体的な施肥設計の方法論までを網羅的かつ体系的に解説した専門書です。単なるデータの羅列ではなく、土壌科学や植物生理学の科学的原理に基づき、「なぜその肥料が、その量、その時期に必要なのか」という根本的な問いに答えることを目指しています。稲、麦、野菜、果樹といった品目別に章が立てられ、それぞれの生育段階に応じた施肥技術が図表を交えて具体的に示されており、農業従事者や研究者が実践の場で参照できる事典としての機能を持つ一冊と考えられます。
本書が発売された1956年当時は、戦後の食糧増産が国家的な課題であり、農業の近代化が急がれる時代でした。伝統的な経験則に頼る農業から、化学肥料を用いた科学的農業への転換が求められていましたが、多くの農家は体系的な知識を持っていませんでした。このような背景の中、「どの肥料を、いつ、どれだけ施用すれば収量を最大化できるのか」という切実なニーズに対し、本書は科学的根拠に基づく網羅的な答えを提示したと考えられます。当時の類書が断片的な技術紹介に留まっていた可能性が高い中、本書は特定の製品に依存しない普遍的な「原理原則」をまとめた『綜典』、すなわち事典としての地位を確立しました。学術的な権威性と現場での実用性を両立させたことで、農業指導者から意欲的な農家まで、幅広い層の信頼を獲得し、爆発的な需要に応えたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1956年)