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本書は、「原子物理学の父」と称される科学者アーネスト・ラザフォードの生涯と科学的業績を追った伝記です。ニュージーランドでの少年時代から、ケンブリッジ大学での研究、そして原子核を発見するという歴史的偉業に至るまでの道のりを、年代順に描き出しています。単なる業績の解説にとどまらず、ラザフォードの人物像や、彼がどのようにして数々の実験を考案し、そこから真実を導き出していったのかという思考のプロセスに焦点を当てています。放射線や原子構造といった難解なテーマを、専門知識のない読者にも理解できるよう、平易な言葉と物語形式で解説することを目的とした一冊です。
本書が発売された1956年当時は、第二次世界大戦を経て、世界が「原子の時代」に突入した時期でした。米ソの冷戦下で核開発競争が激化する一方、日本では前年に原子力基本法が成立し、「原子力の平和利用」への期待が高まるなど、一般市民の原子力への関心は極めて高かったと考えられます。しかし、その原理は専門的で難解なものでした。
このような時代背景の中、多くの類書が科学的な解説に終始していたのに対し、本書は「ラザフォード」という一人の天才科学者の人間ドラマとして原子の世界を描き出しました。これにより、読者は難解な物理学を学ぶのではなく、偉人の物語に触れるという親しみやすい形で、時代の最先端であった「原子」の根源を知ることができたのです。科学への憧れと、その力の源泉を知りたいという大衆の知的好奇心に対し、「物語」というフォーマットで応えたことが、発売当初の成功の大きな要因であったと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
