📬 ロングセラー通信
毎日1冊、10年売れ続ける本の秘密をお届け。
無料・いつでも解除可能
本書は、古墳時代から奈良時代にかけての日本古代国家における土地制度の成立と変遷を、実証的なアプローチで解き明かす歴史学の専門書です。『古事記』『日本書紀』といった文献史料の読解に加え、当時としては先進的であった考古学的知見を積極的に導入し、部民制や屯倉といった律令制以前の土地所有形態が、いかにして公地公民を原則とする班田収授法へと移行していったのかを論じています。本書の目的は、単に制度史を解説することではなく、土地という具体的な要素を通して、古代日本の権力構造、社会階層、そして国家形成のダイナミズムを立体的に描き出すことにあります。特定の史観に偏ることなく、史料と物証を突き合わせることで、古代社会の実像に迫ろうとする学術的探求の書と言えます。
本書が1957年当時に多くの読者を獲得した背景には、戦後の新しい歴史観への渇望があったと考えられます。戦前の皇国史観が後退し、日本の成り立ちをより科学的・実証的に捉え直そうとする気運が学術界や知識層の間で高まっていました。このような時代において、天皇や神話中心の歴史ではなく、「土地」という経済的・社会的な基盤から国家の起源を客観的に分析する本書のアプローチは、非常に新鮮に映ったと推察されます。
また、同時代の類書が文献解釈に終始したり、特定のイデオロギー(例えばマルクス主義史学)に基づいた分析に偏りがちだったのに対し、本書は最新の考古学の成果を取り入れた学際的な視点を提示しました。これにより、文字記録だけでは見えてこなかった古代社会のリアルな姿を読者に示し、他の歴史書との明確な差別化に成功したと考えられます。専門的な内容でありながら、日本のルーツを知りたいという一般読者の知的好奇心にも応える筆致が、幅広い層からの支持につながったのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
