📬 ロングセラー通信
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本書は、社会学や文化人類学で用いられる質的研究手法である「フィールドワーク」の入門書です。研究テーマの設定から、現場での観察、インタビュー、メモの取り方といった具体的な技術、さらには収集したデータを分析し、最終的に論文やレポートとしてまとめるまでの一連のプロセスを、順を追って解説しています。学術的な正確性を担保しつつも、著者の具体的な経験や失敗談を交えた親しみやすい語り口が特徴で、専門的な理論だけでなく、フィールドワーカーとしての心構えや倫理といった実践的な側面にも重きを置いています。そのため、これから研究を始める学生や大学院生はもちろん、ビジネスにおける市場調査や企画開発など、人間や社会を深く理解する必要がある実務家にとっても、具体的な指針となる一冊です。
本書が発売された2006年当時に売れた理由は、学術的な知見と実践的なノウハウの間にあった大きな溝を埋める画期的な存在だったからだと考えられます。当時の類書は、難解な理論が中心の専門書か、断片的なテクニック集に限られる傾向がありました。それに対し本書は、「書を持って街へ出よう」というキャッチーな呼びかけと共に、フィールドワークという行為全体を体系的かつ実践的に解説しました。これにより、専門家だけのものだった手法を、一般の学生やビジネスパーソンにも「自分ごと」として捉えさせることに成功したと推察されます。また、2000年代中盤は、インターネットの普及で情報収集が容易になる一方、生身の人間のリアルな姿や現場の重要性が見直され始めた時期でもありました。定量データだけでは捉えきれない消費者のインサイトを探求したいというビジネス上のニーズとも合致し、学術領域を超えた新たな読者層を獲得したことが、発売当初の成功につながったと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?