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本書は、アニメーション監督である宮崎駿が、模型雑誌『モデルグラフィックス』に1998年から1999年にかけて連載した漫画およびイラストコラムをまとめた書籍です。物語は第二次世界大戦の東部戦線を舞台に、実在したドイツ軍の戦車エース、オットー・カリウスの戦いを描いています。しかし、単なる戦記漫画ではなく、宮崎監督自身の兵器や戦争に対する深い造詣、個人的な考察、そして時にユーモラスな「妄想」が、手描きの緻密なイラストと書き文字によって展開される「ノート」という形式を取っているのが特徴です。完成されたアニメーション作品とは異なり、作者の趣味と情熱がダイレクトに表現された、創作の源泉を垣間見ることができる一冊となっています。
本書が発売された2002年当時に大きな注目を集めた理由は、宮崎駿監督への関心が社会現象レベルで高まっていた時代背景にあると考えられます。前年公開の『千と千尋の神隠し』が日本映画の興行収入記録を塗り替える空前の大ヒットとなり、翌年にはアカデミー賞を受賞するなど、宮崎駿というクリエイターの「頭の中」を知りたいという欲求が最高潮に達していました。そのような中で出版された本書は、多くの人がイメージするファンタジックで牧歌的な作風とは真逆の、ミリタリーという極めて個人的でマニアックな趣味を赤裸々に描いたものでした。この強烈なギャップは、「巨匠の意外な一面」として強い訴求力を持ち、コアなファンだけでなく、一般的なジブリファンやカルチャーに関心を持つ層の知的好奇心をも刺激したと推測されます。単なる戦記物でも、ありきたりなクリエイター本でもない、唯一無二のポジションを確立したことが、発売当初の成功につながったのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
