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(2016年)
本書は、歌人・穂村弘氏による短歌の入門書です。五七五七七という定型のルールから、具体的な作歌のテクニック、そして名歌の鑑賞方法までを、豊富な実例と共に解説しています。単に知識を伝えるだけでなく、読者が日常の中で「歌の種」を見つけ、それを31音の言葉に結晶させるプロセスを追体験できるように構成されています。プロの作品だけでなく、一般の投稿歌も数多く取り上げ、短歌が誰にでも開かれた表現形式であることを示唆します。専門用語を極力避け、軽妙でユーモラスな語り口で展開されるため、短歌に全く触れたことのない読者でも、創作の楽しさと鑑賞の奥深さを感じ取れる一冊となっています。
本書が2016年頃に発売当初から売れた背景には、SNSによる短文コミュニケーションの日常化があったと考えられます。Twitterのようなプラットフォームが普及し、限られた文字数で感情や情景を表現することへの関心が高まっていた時代に、31音という定型を持つ短歌は、新しくも伝統的な自己表現のツールとして魅力的に映ったのではないでしょうか。
従来の類書が伝統的な作法や文法を重視する「教科書」的なアプローチを取る中で、本書は著者の穂村弘氏の軽妙な語り口で「短歌的な思考法」そのものを伝えることに注力しました。これは、技術の習得よりも「日常を面白く捉え直す視点」を求める読者ニーズと合致したと推測されます。
加えて、穂村氏の持つポップで現代的なイメージが、短歌の「古風で難しい」という先入観を効果的に払拭し、これまで短歌に興味のなかった若い層やカルチャーに関心のある読者を惹きつけた点も、発売当初のヒットを後押しした大きな要因と言えるでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?