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本書は、漫画家・里中満智子が、ギリシア神話の壮大な物語をマンガという形式で描き出した作品です。世界の始まりであるカオスから、ガイアやウラノスといった原初の神々の誕生、ティターン神族との覇権争いを経て、ゼウスを頂点とするオリュンポス十二神が確立されるまでを、重厚な人間ドラマとして描いています。神々の恋愛、嫉妬、策略、親子間の確執といった人間臭い側面を丁寧に描写することで、複雑な神々の関係性や系譜を物語として自然に理解できるよう構成されています。単なる神話のダイジェストではなく、登場する神々一人ひとりのキャラクターや感情の機微を深く掘り下げ、壮大な叙事詩を視覚的かつドラマチックに体験させることを目的とした一冊と言えるでしょう。
本書が発売された2003年頃は、ファンタジー文学や映画の世界的なヒットを受け、神話や古典の世界観に対する一般の関心が高まっていた時期と考えられます。ギリシア神話は教養として知りたいニーズがありましたが、難解な専門書や児童向けの簡易な絵本が多く、大人が物語として楽しめる入門書は限られていました。その中で本書は、少女漫画の大家として絶大な知名度と信頼を得ていた里中満智子氏が手掛けるという点で、他の類書と一線を画していました。単なる学習まんがではなく、氏の真骨頂であるドラマチックな作画とストーリーテリングによって「本格的な作品」として受け止められたのです。この「大家が描く本格的な入門書」というポジションが、教養を求める層と物語を楽しみたい層の双方に強く訴求し、発売当初のヒットにつながったと推察されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
