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『やさいさん』は、tupera tuperaによる0〜3歳児向けの仕掛け絵本です。本書の中心的なテーマは「土の中に隠れている野菜の発見」です。ページは縦方向に開くユニークな構造になっており、読者がページをめくる行為が、土から野菜を「引き抜く」という動作と連動するように設計されています。各ページには、だいこん、にんじん、じゃがいもといった、子どもたちにとって身近な野菜の一部が土の上に見えており、「すっぽーん」というリズミカルな擬音とともに全体像が現れる構成になっています。物語性よりも、発見の驚きと反復の楽しさに焦点を当てており、読み聞かせを通じて親子がコミュニケーションをとりながら、野菜の名前や形を体感的に学ぶことを促す作品と考えられます。
本作が発売された2010年頃は、「食育」という言葉が一般化し、子どもに食への興味を持たせたいという親のニーズが高まっていた時期と考えられます。当時の野菜をテーマにした絵本は、図鑑的なものやキャラクターが活躍する物語が主流でした。その中で『やさいさん』は、「野菜を抜く」という行為そのものを遊びに変え、縦開きの仕掛けで身体的な感覚に訴えかけた点が斬新でした。この直感的な体験は、言葉の発達が十分でない低年齢の子どもにも直接的な喜びを与え、他の絵本との明確な差別化要因となったと推測されます。また、tupera tupera氏による洗練されつつも温かみのあるデザインは、従来の幼児向け絵本のスタイルとは一線を画し、デザイン感度の高い若い親世代の心を掴んだことも、発売当初のヒットを後押しした要因の一つだと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
