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本書は、中国の古典籍を対象とする学問、いわゆる「支那学(中国学)」の研究方法論を体系的に解説した書籍です。著者の武内義雄が、長年の研究生活で培った知見をもとに、研究者がどのように資料と向き合い、思索を深めていくべきかを具体的に示しています。内容は、経学、史学、諸子百家、文学といった各分野の特性や主要な文献の解説に留まりません。文献の真偽を判断する考証学的な手法、先行研究の整理の仕方、そして学問に取り組む上での心構えまで、研究プロセス全体を網羅しています。特定の知識を与えることよりも、未知の問題を探求するための「思考の作法」を伝授することを目的とした、学問を志す者への指南書と言えます。
本書が発売された1949年当時は、敗戦による価値観の混乱を経て、日本の学問が新たな方向性を模索していた時代と考えられます。特に中国研究においては、戦時中のイデオロギー的な視点から脱却し、純粋に学術的なアプローチを再構築する必要がありました。このような状況下で、京都学派の碩学として絶大な信頼を得ていた武内義雄による、体系的な「研究法」の提示は、道標を求める学生や若手研究者にとってまさに渇望されていたものだったと推測されます。単なる文献案内や概説書とは異なり、膨大な古典籍の海を航海するための「羅針盤」そのものを与えた点に、本書の独自性がありました。学問の道筋が不透明な時代において、信頼できる先達が示した普遍的な「型」は、多くの学徒にとって確かな拠り所となり、その需要が初期の売れ行きを支えた大きな要因であると考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
