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『いやいやえん』は、主人公の男の子「しげる」が通う「いやいやえん」という保育園での日常を描いた短編連作童話です。この保育園には、泣き虫や意地悪、わがままなど、いわゆる「手のかかる」子どもたちが集まっています。物語は、しげるの視点を通して展開され、子どもたちの間で起こる小さな事件や冒険、そして空想の世界が生き生きと描かれます。例えば、お弁当が逃げ出したり、おもちゃのくまが動き出したりと、現実とファンタジーが自然に融合しているのが特徴です。本書は、子どもの「いやだ」という自己主張や複雑な感情を否定せず、ありのままに受け止めながら、彼らがどのように世界と関わり、成長していくかを温かく見守る物語群で構成されています。
本書が1962年当時に読者に受け入れられた理由は、当時の児童文学の常識を覆す「子どもの視点の徹底」にあったと考えられます。当時の児童書には、大人の視点から子どもを諭したり、理想的な子ども像を描いたりする教訓的な作品が少なくありませんでした。そんな中、『いやいやえん』は、大人の都合を排し、子どもの「いやだ」という理不尽にも見える感情や論理を、ありのままに肯定的に描きました。これは、高度経済成長期に核家族化が進み、育児に悩む親たちにとって、自分たちの子どもの姿を代弁してくれるような新鮮な物語として映ったのではないでしょうか。また、子どもたち自身も、自分と同じように駄々をこね、空想にふける主人公たちに強く共感し、物語の世界に没入することができたと推測されます。日常とファンタジーがシームレスに繋がる作風も、既存の童話とは一線を画す斬新なものであり、子どもの想像力を掻き立てる新しいエンターテインメントとして支持された可能性が考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
