📬 ロングセラー通信
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本書は、タレントの上岡龍太郎氏が、自身の芸能生活と見聞に基づき、戦後日本の上方(関西)におけるお笑い芸能の変遷を語り下ろした一冊です。横山エンタツ・アチャコに始まる漫才の歴史から、落語、新喜劇、そしてテレビ時代に至るまでの流れを、具体的な芸人たちのエピソードを交えながら解説しています。単なる年表的な歴史書ではなく、演者としての当事者意識と、批評家としての客観的な視点を織り交ぜながら、「笑い」の本質や芸人の生き様を論じる構成となっています。あくまで「私の上方芸能史」というスタンスを貫き、個人の視点から芸能界のダイナミズムを切り取っている点が特徴です。
1997年当時、お笑いブームが深化し、視聴者は単に笑いを消費するだけでなく、その背景にある歴史や構造を知りたいという知的な欲求を高めていたと考えられます。その中で、当代随一の「知性派タレント」として認知され、『探偵!ナイトスクープ』などで見せる理知的で辛辣な批評眼に定評があった上岡龍太郎氏が、自らの視点で芸能史を語るというコンセプトは、まさにそのニーズに応えるものでした。学術的な研究書でも、単なる芸人の自叙伝でもない、「トッププレイヤーによる批評的な歴史書」という独自のポジションを確立したことが、他の類書との決定的な差別化要因となったのではないでしょうか。テレビで垣間見える氏の知的な話術を、一冊の本としてじっくり味わいたいというファンの期待感も、発売当初の売れ行きを強く後押ししたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
