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本書は、ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇のうち、『オセロー』と『リア王』の二作品を収録した文庫です。翻訳は、現代的で分かりやすい台詞回しに定評のある小田島雄志氏が手がけています。嫉妬に駆られて妻を殺害する将軍の悲劇を描く『オセロー』と、娘たちに裏切られ荒野をさまよう老王の姿を描く『リア王』は、いずれも人間の根源的な感情や家族関係の崩壊をテーマとしています。本書は、ちくま文庫から刊行されている全8巻+別巻の「シェイクスピア全集」の一部であり、読者はシェイクスピアの普遍的な世界を手軽な形で、かつ舞台の臨場感が伝わるような言葉で体験することができます。
本書が発売された2000年頃は、世紀の変わり目にあたり、新しい価値観が模索される中で古典を現代的な視点から再評価しようとする機運が高まっていたと考えられます。特に文学界では、海外古典の新訳が注目を集め始めており、読者は旧来の難解な翻訳ではなく、現代の言葉で古典に触れたいというニーズを持っていました。
このような状況下で、演劇の世界で絶大な支持を得ていた小田島雄志氏による「生きた言葉」の翻訳は、大きな差別化要因となりました。それまでの格調高いが堅苦しいシェイクスピア像を刷新し、登場人物の感情がダイレクトに伝わる読みやすさは、これまで古典に馴染みのなかった若者層や、演劇ファンを惹きつけたと推測されます。また、手軽な文庫でありながら「全集」という体系性を備えていた点も、知的好奇心旺盛な読者層に響き、コレクションとしての需要も喚起したことで、発売当初の売上につながったと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
