📬 ロングセラー通信
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本書は、建築学者・民俗学者の今和次郎が提唱した「考現学」という学問分野の入門書です。考現学とは、現代の都市や人々の生活様式、風俗、持ち物などを詳細に観察・記録・分析することで、その時代の社会の実相を捉えようとする学問的手法を指します。考古学が過去の遺物から歴史を研究するのに対し、考現学は「現在」をその対象とします。本書では、銀座を歩く人々の服装調査や、住宅の間取り、個人の持ち物調査といった具体的な事例が、著者のスケッチと共に豊富に紹介されています。読者はこれらの事例を通じて、考現学の基本的な考え方や観察・記録の方法論を学び、身の回りの日常風景に潜む社会的な意味や変化を発見するための「視点」と「手法」を獲得することができます。
本書が発売された1987年頃は、日本がバブル景気の頂点へと向かう時代でした。都市文化が爛熟し、大量生産・大量消費が加速する中で、多くの人々がその急激な変化を肌で感じていました。このような時代背景において、自分たちが生きる「現代」とは一体何なのか、という問いへの知的な関心が高まっていたと考えられます。
当時の類書である社会評論や文化論が現象の「分析結果」を提示するに留まっていたのに対し、本書は読者自身が実践できる「方法論」を提供した点で画期的でした。「考現学」という学問的な枠組みを提示しつつも、その手法は「街に出て観察し、スケッチする」という、誰にでも始められる具体的なアクションでした。デザインや建築、社会学を学ぶ学生や専門家だけでなく、自分たちの足元を見つめ直したいと考える一般読者にとっても、このアカデミックな知的好奇心と実践の手軽さを両立させたアプローチは新鮮に映り、強い支持を集める要因になったと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
