📬 ロングセラー通信
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本書は、人事部門を単なる管理機能から経営戦略を推進するパートナーへと変革させるための思想と実践を説く一冊です。著者は、LIXILグループ(当時)で人事改革を主導した実体験を基に、制度やルールといったハード面だけでなく、社員の心を動かし、組織を一つの方向に導くための「ビジョン」と「ストーリー」の重要性を強調します。リーダー育成、グローバル化、ダイバーシティといった現代的な経営課題に対し、従来の制度設計中心のアプローチとは一線を画し、組織の物語を構築し語ることの有効性を論じています。経営者、人事担当者、そして部下を持つすべてのリーダーに向けて、人を動かすための本質的な考え方を提供する内容となっています。
本書が発売された2012年当時は、リーマンショック後の経済停滞とグローバル化の波の中で、多くの日本企業が従来の経営モデルの限界に直面していました。特に人事領域では、成果主義の導入が一巡したものの、社員の疲弊やモチベーション低下といった副作用が顕在化し、「制度だけでは人は動かない」という課題意識が現場で高まっていたと考えられます。そのような時代背景の中、多くの類書が依然として精緻な制度設計や労務管理といった「How」に焦点を当てていました。それに対し本書は、「制度で縛るな、ストーリーを語れ」という挑発的なタイトルと共に、人の感情や動機付けといった「Why」に踏み込みました。大企業での実践に基づいた生々しいストーリーは、机上の空論ではない説得力を持ち、既存の手法に閉塞感を覚えていた経営者や人事担当者の心を掴み、強い支持を得るに至ったと推察されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(2012年)