📬 ロングセラー通信
毎日1冊、10年売れ続ける本の秘密をお届け。
無料・いつでも解除可能
本書は、ポーランドの作曲家フレデリック・ショパンによるピアノ独奏曲の中から、彼のキャリア中期から後期にかけての代表作である「4つのスケルツォ(作品20, 31, 39, 54)」全曲と「幻想曲 ヘ短調(作品49)」を収録した楽譜集です。全音楽譜出版社が展開する、クラシック音楽の主要なレパートリーを網羅した「全音ピアノライブラリー」シリーズの一冊として刊行されています。各曲には、日本のピアノ教育の現場で長年参照されてきた運指記号やペダル指示が加えられているほか、楽曲の背景や形式を解説した文章も付記されています。これにより、学習者や演奏家がショパンの複雑で情熱的な作品群を技術的、音楽的に深く理解し、演奏するための実践的な手引きとして機能する一冊となっています。
本書が発売された1957年頃は、日本が高度経済成長期に差し掛かり、ピアノが一般家庭における「文化的な習い事」として急速に普及し始めた時代でした。クラシック音楽への憧れが高まる一方で、海外から輸入される楽譜は高価で入手も容易ではありませんでした。このような状況下で、全音楽譜出版社は国内の編集者による丁寧な校訂を施した「全音ピアノライブラリー」シリーズを、手頃な価格で全国的に供給しました。これは、質の高い楽譜を求めるピアノ学習者や指導者のニーズに完全に応えるものでした。特に、多くの学習者が憧れるショパンの、中でも演奏会映えする大曲であるスケルツォと幻想曲をまとめた本書は、中級から上級へとステップアップを目指す層にとって、まさに待望の楽譜であったと考えられます。信頼できる国産ブランドによる「手の届く本格楽譜」というポジションが、発売当初の成功を支えたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(1957年)