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本書は、都内の高級ホテル「ホテル・コルテシア東京」を舞台にしたミステリー小説です。警視庁捜査一課の若手刑事・新田浩介が、連続殺人事件の次の犯行場所として予告されたこのホテルに、フロントクラークとして潜入捜査を行う物語が描かれます。彼の教育係に任命されたのは、優秀なホテルマンである山岸尚美。客の仮面を剥がしてでも犯人を突き止めたい刑事と、客の仮面を守ることを信条とするホテルマン。相反する職業倫理を持つ二人が、時に反発し、時に協力しながら、ホテルに訪れる様々な事情を抱えた客たちが持ち込む小さな謎を解き明かしていきます。そして、刻一刻と迫る犯行予告日に向けて、正体不明の犯人を追跡する緊迫した捜査が展開されます。
『マスカレード・ホテル』が発売当初の2014年頃に大きな支持を得た理由は、確立された著者ブランド力と、当時の読者ニーズに合致した新しい切り口の提供にあったと考えられます。まず、東野圭吾氏はすでに国民的ベストセラー作家としての地位を確立しており、新作への期待値が非常に高い状態でした。その期待に応える形で提示されたのが、「刑事×ホテルマン」という異色のバディ設定と、「高級ホテル」という華やかな舞台です。従来の警察小説が持つ汗臭いイメージとは一線を画すこの設定は、ミステリーファンだけでなく、職業小説や洗練されたエンターテイメントを求める幅広い層にアピールしました。また、犯人探しの本筋と並行して、ホテルを訪れる客たちの人間模様を描く連作短編のような構成が採用されています。これにより、一話完結のテレビドラマを見るようなテンポの良さと読みやすさが生まれ、SNSなどで感想を共有しやすい気軽さも、ヒットを後押しした要因と推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(2014年)