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  5. 戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

デーヴ グロスマン

筑摩書房 (2004年)

22年連続ベストセラー

Amazon 売れ筋ランキング

本- 33,381位
本 > 社会・政治 > 軍事- 74位

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Amazonで見る¥1,760

作品概要

本書は、元米陸軍士官であり心理学者の著者が、兵士が戦闘において敵を殺害する際の心理的メカニズムを解き明かすノンフィクションです。「人間は本能的に同種殺しに強い抵抗感を持つ」という核心的な仮説を軸に、歴史上の戦争における兵士の発砲率が驚くほど低かった事実を豊富なデータで提示します。そして、軍隊がこの生来の抵抗感をいかにして克服させ、兵士を「殺人」に条件付けるかを、心理学的な訓練手法を通して詳細に分析します。ベトナム戦争以降の訓練の変化が兵士の精神的負担(PTSD)を増大させた過程や、現代社会における暴力的なビデオゲームなどが人間の攻撃性に与える影響にも言及し、戦争という極限状況から人間の心理の根源に迫る一冊です。

なぜ発売当時に売れたのか

本書が発売された2004年当時に売れた背景には、イラク戦争とそれに伴う自衛隊派遣という社会情勢が大きく影響していると考えられます。9.11以降の「対テロ戦争」という新しい形の戦争が連日報道され、日本国内でも「戦争」や「兵士」という存在が非常にリアルな関心事として浮上していました。このような状況下で、多くの読者は、メディアで描かれる英雄的な兵士像の裏側にある、生身の人間の心理を知りたいという欲求を抱いていたと推察されます。従来の戦略論や情緒的な反戦文学とは一線を画し、「兵士が人を殺すとはどういうことか」という極めてミクロで根源的な問いに、心理学とデータを用いて科学的に切り込んだ本書の独自性が、読者の知的好奇心を強く刺激したのではないでしょうか。戦争というタブー視されがちなテーマの核心に、冷静な分析のメスを入れた点が、時代が求める新たな視点を提供したと考えられます。

では、なぜ売れ続けたのか?

なぜ10年以上売れ続けているのか

この本が売れ続けている構造的な要因は、「戦争」という特殊な状況をレンズとして、人間の攻撃性や倫理観といった普遍的なテーマを解剖する「極限状況のプリズム」として機能している点にあると考えられます。

第一に、他の多くの戦争関連書籍との決定的な差別化ポイントは、そのテーマの普遍性にあります。特定の戦争史や地政学、兵器解説を扱う本は、時間と共に情報が古くなりがちです。しかし本書は、「人を殺すことへの生来の抵抗感」という、時代や文化、技術の変化に影響されない人間の心理的基盤をテーマとしています。そのため、情報が陳腐化することなく、いつの時代の読者にも根源的な問いを投げかけ続けることができます。

第二に、本書は「戦争」という非日常を入り口に、読者自身の日常と心理を接続する構造を持っています。兵士が心理的抵抗を乗り越えるプロセスを読むことは、読者が自分自身の内なる攻撃性や、怒りのコントロール、罪悪感といった感情を省察する鏡の役割を果たします。暴力的なゲームや映画になぜ惹かれるのか、といった日常の疑問に対し、本書は一つの理論的フレームワークを提供します。これにより、単なる知識の獲得に留まらない「自己理解のツール」として機能し、世代を超えて新たな読者を獲得し続けていると考えられます。

最後に、本書は時代変化への強い耐性を持っています。戦争の形態がドローンやサイバー攻撃へと変化しても、「人間が最終的な判断を下し、その結果に精神的責任を負う」という本質は変わりません。むしろ、世界各地で紛争が頻発したり、社会で衝撃的な暴力事件が起きたりするたびに、人間の攻撃性の根源を理解したいというニーズが高まります。その際、本書が提示する「殺しの心理学」という視点は、現象を理解するための普遍的な参照点として繰り返し参照され、その価値を再認識されるのです。

『戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)』のロングセラー要素を「極限プリズム」「タブーの科学化」「地続きのアナロジー」と独自に分解。

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