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作品概要
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本書は、作家・永井荷風が1917年(大正6年)から1959年(昭和34年)まで、42年間にわたり綴った膨大な日記『断腸亭日乗』から、その一部を抜粋・編集した書籍です。上巻では、大正デモクラシーの時代から第二次世界大戦末期に至るまでの記録が収録されています。
内容は、荷風自身の読書記録、文人墨客との交遊、日々の食事や散策といった私生活の描写に留まりません。急速に近代化し、失われていく江戸・明治期の東京の風情や街並みへの愛惜、そして軍国化していく世相への冷徹な観察眼と批判精神が、独自の文体で綴られています。本作は、一人の作家の記録であると同時に、大正から昭和戦前期にかけての日本の社会風俗や文化的雰囲気を伝える一次資料としての側面も持ち合わせています。
本書が発売された1987年は、日本がバブル経済の絶頂期にありました。地価が高騰し、都市開発によって古い街並みが次々と姿を消していく一方、社会は物質的な豊かさを謳歌していました。このような時代背景において、『摘録 断腸亭日乗』は複数の読者ニーズを捉えたと考えられます。
第一に、時流に迎合せず、失われゆく江戸・明治の風情を愛した永井荷風の孤高な生き方が、バブル期の浮ついた世相へのカウンターとして機能した可能性があります。経済的繁栄の裏で精神的な拠り所を求める読者にとって、荷風の美意識や反骨精神は魅力的に映ったと推測されます。
第二に、「摘録」という形式が、読者の参入障壁を下げた点も重要です。膨大な量の日記をいきなり読むのは困難ですが、要点を抜粋した本書は、文豪・永井荷風の世界への格好の入門書となりました。岩波文庫という権威あるブランドから、手に取りやすい形で提供されたことが、当時の教養志向の読者層に広く受け入れられる要因となったと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
最新(4/25): 1,650位 / 期間中の最高位: 1,650位 / 最低位: 1,650位