📬 ロングセラー通信
毎日1冊、10年売れ続ける本の秘密をお届け。
無料・いつでも解除可能
本書は、プロプレイヤー桂マサ子氏が執筆した撞球(ビリヤード)の入門書です。道具の選び方や手入れといった準備段階から、キューの握り方、正しいフォーム、安定したブリッジの組み方といった基本姿勢までを写真や図解を交えて解説しています。さらに、ボールの中心を撞く基本ショットから、押し球や引き球といった応用技術、的球への狙い方まで、段階的に技術を習得できるよう構成されています。当時の主流であった四つ球のルール説明や基本的な戦術、一人でできる練習方法も網羅しており、初心者が体系的に撞球の基礎を学ぶための手引書として機能します。
本書が1952年当時に売れた理由は、時代の要請と著者の持つ圧倒的な権威性が見事に合致した結果と考えられます。戦後の復興が進む中、ビリヤードはモダンな大人の娯楽として広がりを見せ始めていました。しかし、その技術を体系的に学べる信頼性の高い教材はまだ少なかったと考えられます。ちょうどその時期、著者の桂マサ子氏は世界選手権で活躍し、「ビリヤード界の女王」として国民的なスターとなります。彼女の登場は、ビリヤードが単なる遊びではなく、世界レベルの競技であると認知させ、多くの人々に憧れを抱かせました。本書は、その「女王」自らが執筆した初の本格的な入門書であり、他の類書とは一線を画す存在でした。読者は、世界トッププレイヤーの技術と思想を直接学べるという付加価値に強く惹きつけられたのではないでしょうか。スターへの憧れが学習意欲へと転換され、購買につながる構造が形成されていたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
