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本書は、作家・野間宏が編纂した、近代日本の「抵抗詩」を集めたアンソロジーです。明治期の石川啄木から、プロレタリア文学の中野重治、反戦を貫いた金子光晴、そして戦後の詩人たちに至るまで、時代や権力、社会の不条理に異議を唱えた詩人たちの作品を体系的に収録しています。単一の詩人の作品集ではなく、「抵抗」という明確なテーマのもと、時代を横断して詩を選び出し、再構成している点が特徴です。詩という文学形式を通して表現された、個人の尊厳や自由への希求、反骨の精神の系譜を一覧することができます。本書は、日本の近代史における精神的な抵抗の軌跡を、詩作を通じてたどるための詩選集として機能します。
本書が発売された1953年当時に売れた理由は、戦後の社会情勢と読者の精神的ニーズが合致した点にあると考えられます。朝鮮戦争の休戦を迎え、冷戦構造が固定化する中、日本国内ではサンフランシスコ講和条約後の「逆コース」と呼ばれる動きへの警戒感が高まっていました。戦争の記憶が生々しい読者にとって、再び自由や平和が脅かされることへの危機感は切実であり、権力に屈しない「抵抗」の精神は、自らの思想的支柱として求められていました。そのような時代背景の中、本書は単なる詩集ではなく、「抵抗の思想」を体現した書物として受け止められたと推察されます。編者である野間宏が、小説『真空地帯』で既に反戦作家としての地位を確立していたことも、本書の信頼性とメッセージ性を高め、他の詩集とは一線を画す存在として、時代の空気に共鳴する読者層に強く支持されたと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?