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(1954年)
本書は、19世紀アメリカの詩人ウォルト・ホイットマンの代表作『草の葉』を中心に、詩人であり翻訳家の白鳥省吾が編訳した詩集です。収録された詩は、民主主義への賛歌、個人の尊厳、肉体と精神の肯定、自然との一体感といったテーマを扱っています。伝統的な韻律や定型に縛られない「自由詩」という形式で書かれており、そのダイナミックで奔放な表現が特徴です。本書は、ホイットマンの詩の世界を日本の読者に紹介することを目的としており、原詩の持つ生命力やスケールの大きさを、翻訳者独自の解釈を通して伝えようとするものです。
本書が発売された1954年頃に売れた理由は、当時の日本の社会的・精神的状況と、ホイットマンの詩が持つメッセージが強く共鳴したためと考えられます。第二次世界大戦の敗戦から約10年、日本は古い価値観が崩壊し、新しい時代の指針を模索していました。そのような中で、ホイットマンが謳う「個人」の絶対的な肯定と、封建的な身分制度を否定する「民主主義」の精神は、多くの読者、特に若い世代にとって新鮮で力強いメッセージとして響いたと推測されます。また、翻訳者である白鳥省吾自身が民衆の生活に根差した詩を目指す「民衆詩派」の詩人であったことも重要です。彼のホイットマンへの深い共感に基づいた情熱的な翻訳は、単なる外国文学の紹介に留まらず、戦後の日本人が求めるべき精神的な解放とエネルギーを提示する「思想書」として受け入れられ、当時の読者ニーズを的確に捉えたと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?