📬 ロングセラー通信
毎日1冊、10年売れ続ける本の秘密をお届け。
無料・いつでも解除可能
本書は、幼い子どもが一人で服を着ようとする日常の一コマを、温かみのある絵とリズミカルな言葉で描いた絵本です。主人公の子どもが、Tシャツを着ようとして頭や手が隠れてしまい、「どこかな?」と探した末に「でた!」と顔を出す、というシンプルなプロセスを追体験させます。物語の起承転結よりも、乳幼児が日々経験する身体的な感覚や、それに伴う小さな達成感に焦点を当てています。読み手が子どもに問いかけ、一緒に身体を動かしながら楽しめる構成になっており、単なる読み聞かせにとどまらず、親子のコミュニケーションを促すためのツールとしての役割も担っています。
発売された1986年頃は、核家族化が進行し、多くの親が育児情報や子どもとの関わり方を模索していた時代と考えられます。そのような中で本書は、単に物語を鑑賞する従来の絵本とは一線を画し、赤ちゃんの日常的な行動である「着替え」をテーマに据えました。これにより、育児中の親が直面する具体的なシーンに直接的に寄り添うことができたと推測されます。「おててはどこ?」「でた!」という展開は、乳幼児が普遍的に好む「いないいないばあ」の遊びの構造を取り入れており、言葉が未発達な子どもでも直感的に楽しめる設計でした。林明子氏による、赤ちゃんの柔らかさや仕草をリアルに捉えた愛情深い絵も、当時の親たちの強い共感を呼び、子育ての新しい「お供」として、発売当初から広く受け入れられたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
